無 題
聞きたくもないのに 一方的に

わたしの からだのなかに ためこまれ

   流し込まれてゆく 声 声 声

   それらの不協和音で

   わたしは便秘気味

   わたしは くるしい。


* * * * *


   カタツムリ



戸のこちら側にすぐ ひっこもうとする心を

内側から つっかえ棒して

中に入れないようにしている

そうして

乾いてコナゴナになりそうな恐怖に

ふるえながらも

かろうじて

外気におのれをさらしつづけている

カタツムリの頭

* * * * *



   わたし は 今

   たったひとりで部屋に坐っているのだ

   ここには あなたの腕はない  あなたの胸はない

   あなたに語りかけることもできない

   抜き差しならぬ 独りの闇

   その中に わたくしは いつも坐っている

   わたくしが戻ってくるのは いつも この闇

   そして これが わたしの現実

 

22歳のとき書いたもの。
夜の盛り場で 幻想に酔いしれるとき
高揚とは裏腹の 焦燥感を感じる。
私にとっての REALITYはいつだって
たったひとりの 自分の部屋の闇。
恋しい人と過ごす時間も 
幻想に過ぎぬことを
よく知っている。
恋の炎にどんなに身を焦がそうとも
どこか 自分の本体は
幽体離脱して
虚空から 自分を見下ろしている。